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「これが真相だ。俺はゼロを失い、ゼロは俺に憎しみを抱いた悲しい事件さ。」
スクリーンを収めつつ、暗い顔でロックのほうを向くトリッガー。ロックもしばらく考え込む。
「どういう理由であれ、俺が殺したとゼロは思いこんでいる。俺は誤解を解き、憎しみの鎖を
断ち切って、また元のゼロに戻って欲しいんだ。今のゼロはバーサーカーと化している。」
トリッガーは椅子を離れ、何やらコンパネを操作し始めた。ロックもつられて立つ。
「俺は死んでしまった。だからゼロと闘うことは出来ない。しかし、君ならゼロを元に戻せる。
今から俺の全てを君に渡す。これで全てのリミッターが外せる。そして、ゼロを救って欲しい。」
トリッガーが真剣な眼差しでロックを見つめる。ロックは静かに口を開いた。
「・・僕もゼロ・・いや、ダブルには元に戻って欲しい。運命なんかに引き裂かれたくない!
僕は戦います。あなたの意思を継ぐために・・そして、ダブルを元に戻すためにも!!」
一方。現実世界では・・・。
「・・何度も言うが・・。もう三十体ぐらい用意するべきだったな。」
勝ち誇り、血を大量に浴びた姿で部屋の中央に立っていたゼロ。
高く差し出された腕には首を締め上げられているトロンが・・足の下にはロールがいた。
どちらもアーマーを全て砕かれ、血まみれのアンダースーツだけになっていた。
データもトロンとロールを治療しすぎたせいか、煙を出して転がっていた。
「さぁ〜て・・雑魚相手も飽きてきた。まだ生きているようだが、そろそろ死ぬか?」
ゼロは腕と脚に力をこめる。首を締め上げられ、腹を踏まれ、辺りに苦痛の叫びが響く。
トロンとロールの意識が薄れ始めたその時だった!突然、部屋の一角から光が生まれた!
突然の乱入に何事かと顔を上げるゼロ。ロール達も発光部分を見つめる。
やがて、光が収まり、一人の少年が立っていた。青いアーマーを付けたその少年は・・!!
「ロック!!」
その場にいた全員が彼の名を呼ぶ。彼らが待っていた希望の光が今ここに蘇ったのだ!!
ロックはロールちゃん達の様子を見て、顔を曇らせる。そして・・・。
「ゼロ・・。ロールちゃんとトロンちゃんを離してもらうよ・・・。」
そう、ロックが言った瞬間!!ロックの姿が消えた!!突然の出来事に対応が遅れたゼロ!
ドガン!!!
ゼロの顔面にロックの飛び蹴りが炸裂!!あまりの速さに誰も気付く事が出来なかった。
ゼロが壁に激突する頃には、ロックは二人の戦友を抱きかかえていたのだった。
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