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「ど、どういうわけなんですか?ゼロはあなたが殺したとはっきり言いましたが・・。」
いつのまにか出現した椅子に腰掛けて、ロックが動揺した口調で聞く。ふと指を鳴らすトリッガー。
すると、巨大なスクリーンのようなものがロックの横に現れた。
「確かにゼロは俺との闘いの最中で死んでしまった。待ち合わせ場所も俺が指定したから、
事前にトラップを張る事ぐらいできる。しかし、俺はそんな事はしない。これを見てくれ。」
そう言うとトリッガーは手元のボタンを押す。すると、スクリーンに映像が映し出された。
そこには黒い球体の中でうずくまるゼロの姿があった。その横にはトリッガーもいる。
ゼロがどのようにして死んでしまったのかがわからなかったロックにとってかなり刺激が強い映像だ。
ここまでならば、ゼロがトリッガーの策略で倒された事が自然と伝わってくる。だが何か様子が違う。
その時!何を思ったか、トリッガーが黒い球の中に入ろうと体当たりをし始めた!
ゼロが苦しんでいる様子からこの球体に入る事は自殺行為に近い事がはっきりわかるのにだ。
必死で体当たりを繰り返すトリッガーだったが、ふいに物陰から飛んできた一人の青年に止められる。
「おまえは今日入ってきた新米じゃないか?!何故ここにいる?!」
興奮状態のトリッガーにびくつきながら、新人の粛清官が小さな子供のように話す。
「だって・・ゼロ様はトリッガー様を殺そうと・・他のマザー直属の粛清官に向かって、
処理行為を行おうとするものは・・イレギュラーと認定されるから・・だから!!・・俺・・。」
新人であるがゆえ、ゼロとトリッガーの関係を知らなかったのだろう。それを聞き、
あまりにも偶然に出来あがってしまった惨劇にどうする事も出来ず、ゼロを見つめるトリッガー。
遂に、ゼロの身体が闇へと消えた。超重力のせいで発生した亜空間に入ってしまったのだろう。
もう、友には会えない。この次元に帰ってくる可能性はゼロに限りなく近いのだから。
泣き崩れるトリッガー。その姿を見ながら動揺する新人粛清官。数千年前の悲しい悲劇だった。
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